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2007年08月17日

平成元年・民事訴訟法第2問

問題文

 甲は、乙に対して、300万円を貸し付け、その際、丙が乙の債務を保証したと主張して、次のように、乙及び丙に対して各別に訴えを提起した。次の各場合について答えよ。
1 甲が、乙に対して貸金の返還を求める訴えを提起し、その判決が確定した後に、丙に対して保証債務の履行を求める訴えを提起した場合、甲乙間の確定判決は、甲丙間の訴訟に影響を及ぼすか。
2 甲が、丙に対して保証債務の履行を求める訴えを提起し、その判決が確定した後に、乙に対して貸金の返還を求める訴えを提起した場合、甲丙間の確定判決は、甲乙間の訴訟に影響を及ぼすか。

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答え

前提
対乙の訴え 訴訟物 甲の乙に対する貸金返還請求権
 Kg (甲乙間の)金銭消費貸借契約の締結・甲から乙への300万円交付・履行期到来(または催告・催告から相当期間の末日到来)
対丙の訴え 訴訟物 甲の丙に対する保証債務履行請求権
 Kg (甲乙間の)金銭消費貸借契約の締結・甲から乙への300万円交付・履行期到来(または催告・催告から相当期間の末日到来)・(甲丙の)保証契約締結・保証契約が書面によってなされたこと

小問1 争点・確定判決の効力の客観的範囲・主観的範囲(反射効)
 甲乙間の判決が確定→確定判決に既判力(114条1項)発生
既判力=確定判決の判断内容の後訴に対する通用力・拘束力
 根拠、紛争解決の実効性確保+手続保障の下、当事者の自己責任を問える
 →既判力の客観的範囲=原則として主文で示された判断のみ(114条1項)
  既判力の主観的範囲=原則として当事者のみ
 反射効(=当事者間の確定判決が当事者と実体法上の依存関係にある第三者に有利・不利に影響する効力、根拠、紛争解決の実効性確保)を認めるなら、確定判決が第三者に影響与えうるかもしれない。
 しかし、反射効は認められない(∵明文規定がない+第三者の手続保障を欠く)

甲乙間の判決=乙勝訴
  →既判力=甲の乙に対する貸金返還請求権は存在しない
   しかし、(甲乙間の確定判決によって生じる既判力の主観的範囲は甲乙間の訴訟における当事者たる甲乙に限られる上、反射効が認められない→甲乙間の確定判決、甲丙の訴訟に影響及ぼさない。
甲乙間の判決=甲勝訴
  →既判力=甲の乙に対する貸金返還請求権は存在する
    しかし、(甲丙の)保証契約がないならば、甲丙間の訴訟では甲敗訴の可能性あり
  →甲乙間の確定判決、甲丙間の訴訟に影響を及ぼさない。

 →甲乙間の確定判決、甲丙間の訴訟に影響を及ぼさない。

小問2
甲丙間の確定判決
 既判力の主観的範囲=甲・丙
 既判力の客観的範囲
  =(甲敗訴なら)保証債務の不存在
  =(丙敗訴なら)保証債務の存在

甲丙間の確定判決=丙敗訴
 既判力の主観的範囲=甲・丙
  +反射効が認められない
     →甲丙間の確定判決、甲乙間の訴訟に影響を及ぼさない。

甲丙間の確定判決=丙勝訴=甲敗訴
 既判力の主観的範囲=甲・丙
  +反射効が認められない
     →甲丙間の確定判決、甲乙間の訴訟に影響を及ぼさない、とも
 しかし、甲丙間の確定判決で主債務の存在否定されたのに、甲乙間の訴訟で主債務の存在を主張することは、信義則上許容できない。
 →甲丙間の確定判決で主債務の存在否定されたとき、甲乙間の訴訟において、甲は信義則上、主債務の存在を主張できない。

→甲丙間の確定判決で主債務の存在否定されたとき、甲乙間の訴訟において、甲は信義則上、主債務の存在を主張できない。

関連条文


http://6hou.web.fc2.com/minso/87-132.10.html

114条1項 確定判決は、主文に包含するものに限り、既判力を有する。

115条1項
 確定判決は、次に掲げる者に対してその効力を有する。
一 当事者
二 当事者が他人のために原告又は被告となった場合のその他人
三 前二号に掲げる者の口頭弁論終結後の承継人
四 前三号に掲げる者のために請求の目的物を所持する者


関連知識

民事訴訟法教室 ―フリー・ロースクール版: 既判力の定義、根拠、主観的範囲、客観的範囲
http://minso.seesaa.net/article/51689416.html



民事訴訟法教室 ―フリー・ロースクール版: 反射効の定義、根拠、可否

http://minso.seesaa.net/article/51690023.html
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