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2007年08月20日

平成元年・刑事訴訟法第2問

 甲が乙と共謀のうえ、スーパー・マーケットから現金を強取したとの甲に対する強盗被告事件の公判において、次のものを証拠とすることができるか。
(一) 店員丙の公判廷における供述中、二重かぎ括弧@Aの部分


(検察官)「被告人と乙の2人が店内に入って来てどうしましたか。」
(丙)「いきなり被告人が@『騒ぐと殺すぞ』と言ってレジにいた私に刃物を突きつけました。」
(検察官)「それで金を取られたのですね。」
(丙)「はい。乙がレジスター内の現金をわしづかみにして逃げました。」
(検察官)「いくら取られたのですか。」
(丙)「後で警察官からA『被告人は14万円ばかり取ったと言っている』と聞きました。」

(二) 犯行に先立ち甲乙両名が決めた犯行計画を書き留めた乙のメモ

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 答案作成者の個性を尊重するためざっくりとした添削になりますが、予備校の添削とは異なり、反対説・論点(論証ブロック)の詳細な論述よりも、論理の流れ・文章表現の簡潔さを重視して添削します。

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答え
小問(一)@
 本小問で問題とされているもの、いずれも伝聞証拠(公判廷外での供述を内容とする証拠で、供述内容の真実性を立証するためのもの)か否かによって証拠能力が認められるかどうかが左右される
 →伝聞証拠か否かの判断基準、すなわち伝聞法則が適用されるか否かの判断基準が問題に

 伝聞法則(法320-1、公判廷外での供述を内容とする証拠で、供述内容の真実性を立証するためのものは証拠能力が認められない原則)
 根拠 伝聞証拠は、人の知覚プロセス(知覚・記憶・表現・叙述)という誤りの混入しやすい過程を経て得られるため、その真実性が担保されない限りと誤判の恐れがあるから
 →(伝聞証拠か否か(非伝聞か)の判断方法)
 要証事実との関係から(相対的に)その供述内容の真実性が問題となるなら、伝聞証拠、問題とならないなら非伝聞

@犯人の動作の一部→供述内容の真実性が問題にならない
 →非伝聞≠伝聞証拠
  →証拠にできる
小問(一)A
A(警察官の発言)
if要証事実=警察官の発言の存在自体
  →供述内容の真実性が問題にならない
 →非伝聞≠伝聞証拠
  →証拠にできる(しかし不自然)
if要証事実=被告人の発言の内容(14万円の窃取)
 →供述内容の真実性が問題になる
 →伝聞証拠→証拠にできない

では、伝聞法則に例外があるとしてA(警察官の発言)に証拠能力を認めることはできる場合があるか。
 
 (伝聞法則の根拠)
  →信用性の状況的保障があり、証拠としての必要性がある場合、例外的に伝聞証拠にも証拠能力が認められる(伝聞例外、法321条-328条)
 
 A(警察官の発言)=被告人以外の者の発言、その中に(供述内容の真実性が問題になる)被告人の発言がある
  →再伝聞(伝聞例外適用可能 ∵320条「公判期日における供述に代えて」証拠とするとの文言→例外の場合は、公判供述に代わるものなり、ここからさらにもう一度伝聞例外を適用できる)

 →324条1項、322条、321条1項3号の要件を満たせば、証拠能力あり

小問(二)
 乙作成のメモ 伝聞証拠か非伝聞か

 要証事実=計画・意思
  →メモの作成が真摯になされていれる(作成者は、他人の計画・意思を正確に記録する機械と同視できるから)との証明ある限り、知覚・記憶を経ていない以上、非伝聞
 (ただし作成者の作成過程についての立証は必要)
 →メモの作成が真摯になされていれるとの証明がある限り、証拠にできる


関連条文
http://6hou.web.fc2.com/keiso/317-328.html
321条1項
 被告人以外の者が作成した供述書又はその者の供述を録取した書面で供述者の署名若しくは押印のあるものは、次に掲げる場合に限り、これを証拠とすることができる。
一 裁判官の面前(第百五十七条の四第一項に規定する方法による場合を含む。)における供述を録取した書面については、その供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明若しくは国外にいるため公判準備若しくは公判期日において供述することができないとき、又は供述者が公判準備若しくは公判期日において前の供述と異つた供述をしたとき。
二 検察官の面前における供述を録取した書面については、その供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明若しくは国外にいるため公判準備若しくは公判期日において供述することができないとき、又は公判準備若しくは公判期日において前の供述と相反するか若しくは実質的に異つた供述をしたとき。但し、公判準備又は公判期日における供述よりも前の供述を信用すべき特別の情況の存するときに限る。
三 前二号に掲げる書面以外の書面については、供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明又は国外にいるため公判準備又は公判期日において供述することができず、且つ、その供述が犯罪事実の存否の証明に欠くことができないものであるとき。但し、その供述が特に信用すべき情況の下にされたものであるときに限る。
321条2項 被告人以外の者の公判準備若しくは公判期日における供述を録取した書面又は裁判所若しくは裁判官の検証の結果を記載した書面は、前項の規定にかかわらず、これを証拠とすることができる。
321条3項 検察官、検察事務官又は司法警察職員の検証の結果を記載した書面は、その供述者が公判期日において証人として尋問を受け、その真正に作成されたものであることを供述したときは、第一項の規定にかかわらず、これを証拠とすることができる。
321条4項 鑑定の経過及び結果を記載した書面で鑑定人の作成したものについても、前項と同様である。

322条1項
 被告人が作成した供述書又は被告人の供述を録取した書面で被告人の署名若しくは押印のあるものは、その供述が被告人に不利益な事実の承認を内容とするものであるとき、又は特に信用すべき情況の下にされたものであるときに限り、これを証拠とすることができる。但し、被告人に不利益な事実の承認を内容とする書面は、その承認が自白でない場合においても、第三百十九条の規定に準じ、任意にされたものでない疑があると認めるときは、これを証拠とすることができない。
322条2項
 被告人の公判準備又は公判期日における供述を録取した書面は、その供述が任意にされたものであると認めるときに限り、これを証拠とすることができる。

324条1項
 被告人以外の者の公判準備又は公判期日における供述で被告人の供述をその内容とするものについては、第三百二十二条の規定を準用する。
324条2項 被告人以外の者の公判準備又は公判期日における供述で被告人以外の者の供述をその内容とするものについては、第三百二十一条第一項第三号の規定を準用する。

関連知識

刑事訴訟法教室 ―フリー・ロースクール版: 伝聞法則、伝聞証拠、非伝聞、伝聞例外
http://criminal-procedure.seesaa.net/article/52014736.html


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